住宅を購入するにあたり住宅ローンを利用するが多いかと思います。住宅ローンも家を購入することも何度も経験するわけではないので分からないことが多いと思います。
住宅ローンを申し込むときの注意点を簡単に解説します。
金融機関の住宅ローンとフラット35の違い
住宅ローンと言っても、銀行をはじめとする金融機関の住宅ローンとフラット35では管轄する省庁が違います。
銀行の住宅ローンは金融庁の管轄ですが、フラット35は国土交通省の管轄です。同じ住宅ローンでも管轄省庁が違うことで、実は結構中身が違います。
銀行は「人に貸す」と言われ、その人の属性を重点に審査します。逆に、フラット35は「物件に貸す」と言われ、物件に重点をおいて審査します。
フラット35の場合、「返済比率」さえ収まっていれば特に問題無いと判断されるケースが多く、人の属性はあまり考慮されません。
住宅ローンの審査を通すために注意する事
1. 年齢について
住宅ローンに出てくる年齢は「申込み時の年齢」と「完済時の年齢」の二つです。「申込み時の年齢」とは、その名の通り申し込む時の年齢で金融機関にもよりますが、65~70歳までとされていることが多いです。
「完済時の年齢」とは、返済が終わる時の年齢のことで、借入期間に影響します。80歳未満とされているところが多く、申込時の年齢から逆算した期間が借入れられる年数になります。
実際には、支払いが終わるまで現役で働いていられることが理想で、退職後も返済が続く場合はマイナス材料となります。これが30代、40代、50代と年齢が上がっていくごとに審査も厳しくなります。
フラット35であれば、申込み時年齢が70歳、完済時年齢が80歳という条件がありますが、年齢によるマイナス材料という概念がないため、年齢的に不安がある方は検討してみるといいかもしれません。
2.年収と返済比率について
年収は借入れられる限度額に大きく影響します。住宅ローンには借入限度額を計算するための「返済比率」という基準があります。
返済比率とは、年収に対して返済に回せる金額の比率のことです。
【例】年収400万円 返済比率35% 400万×35%=140万円 が年間の返済に回せる金額となります。
このケースで言えば、金利や借入期間を考慮し、年間の返済が140万円以内に収まっていれば大丈夫というようになります。
但し、他にローンなどの借入れがある場合は、その返済額も年間の返済額に含まれてしまいますので、住宅ローンの借入可能額が少なくなってしましますので注意が必要です。
年収と返済比率の関係は以下の通りです(※おおよその目安です)
年収 | 年間返済額 |
---|---|
250~300万円 | 年収の25%以内 |
300~400万円 | 年収の30%以内 |
400~700万円 | 年収の35%以内 |
700万円~ | 年収の40%以内 |
また返済比率を計算するときの金利は実際の適用金利ではなく、固定金利(期間10年)の店頭金利を目安に計算するとい良いと思います。
また、高給であっても歩合給の割合が多い職種では、歩合給部分が考慮されずマイナス材料になる場合もあるので注意が必要です。
3.自営業の方について
自営業の方はサラリーマンと違い、総売上から経費を引いた「利益」が年収として見られます。
自営業者は経費を多めに計上し利益を減らす傾向にあります。審査には過去3年分の決算報告書が求められます。住宅ローンの予定がある場合は3年分の決算を良い状態にする必要があります。
法人の経営者は個人と法人の両方を見られます。法人が過去3期以内で赤字になっていたら金融機関は取引がない限り難しくなります。
ただし、フラット35であれば法人の決算書類はなくても審査はできますが、個人の借り入れが極端に多かったりすると確認を求められることもあります。
また金融機関窓口のフラット35では最初から決算報告書の提出を求められるので、ARUHIやセゾンなどのノンバンク系を選ぶと良いかもしれません。
4.頭金(自己資金)について
最近では自己資金がなくても借りられる住宅ローンは増えていて、諸費用まで借りられる住宅ローンもあります。
審査上で言えば自己資金があればあるほど有利になり、無いとよほど属性が良く無い限り審査上ではマイナス要因となります。諸費用程度の自己資金を用意すると良いでしょう。(購入不動産の10%以上が目安)
年収や勤務先などにもよりますが、フラット35を検討してみるのも良いでしょう。フラット35の諸費用ローンの金利は少し高くなりますが、返済比率にさえ収まっていれば問題は無いため、比較的利用しやすいといえます。
5.勤続年数や雇用形態について
勤務年数は一般的には3年以上あるのが好ましいと言われています。3年に満たない場合はマイナス要因になりますが、転職理由によっては影響を受けないこともあります。
勤務年数が6ヶ月だとしても、転職理由がステップアップであることなどのポジティブな理由であれば影響が少ないケースもあります。
逆に転職先の業種が変わったり年収も下がる場合はネガティブな要因になります。勤続年数が短く、特段ポジティブな要因がない場合は、金融機関の住宅ローンよりもフラット35の方がいいかもしれません。
そのほか、転職前の職場での勤続年数を考慮する金融機関もあります。
最近では雇用形態で、正社員以外に契約社員や派遣社員という方も多いですが、金融機関では正社員以外は厳しいと考えてください。
正社員以外の方はフラット35を検討しましょう。(フラット35は雇用形態は審査の対象にならない)
6.健康状態について
金融機関が重視している審査ポイントの中でも常に1位、2位に入るのが健康状態です。健康状態に問題があれば、長い期間お金を返済していくことが出来ない可能性が高くなるからです。
お金を借りた後に万一のことがあった場合でも、金融機関が資金を回収出来るように団体信用生命保険への加入を必須条件としているところが多いです。
過去に病気をしていたり、現在も服薬中だったりする場合は、審査基準の緩いワイド団信の取り扱いのある金融機関で申し込むか、団信が必須条件となっていないフラット35を検討すると良いでしょう。
7.クレジットカードについて
一番気を付けなければいけないのが、クレジットカードをはじめとする個人信用情報です。
個人信用情報とは、カード会社や信販会社が個人のお金の貸し借りに関する情報を集約する情報機関で、国内には主に3つの情報機関が存在しています。
ここには個人の借入の内容や遅滞情報などがすべて載るようになっていますので、お金の貸し借りについては必ず分かるようになっています。
携帯電話の分割払いも個人信用情報に乗りますので注意が必要です。
まとめ
ここでご紹介した注意点を見てもらうとフラット35が万能に見えますが、そうでもありません。
フラット35は「人」でなく「物件」に貸すというスタンスなので、金融機関の住宅ローンにはない物件の適合検査に合格しなければいけません。
フラット35に適合している物件を選択しなければならない為、希望のエリアに物件を見つけられない場合もあるのです。
つまり、資金計画と物件探しは連動して行う必要があり、更に希望するエリアで見つけるとなると簡単では無いということです。
住宅ローンの融資を検討する際は、不動産会社又は住宅建築会社で資金計画を実施してもらい、自身の状況に合わせて物件探しを行う事が重要です。